初期研修医の最初の2年間はとても貴重な時間です。では、その2年間で先生方は何を学び経験することが大事なのでしょうか?
その後進むであろう専門領域の診療は、きっと医者人生の大半近くやり続けるでしょう。大丈夫。しかし、基本的な考え方やスキルは、最初の2年間を逃すと勉強する機会も、教えてもらえる機会も激減します。専門領域に進んだ時に基礎ができていると、より一層専門に専念することもできるでしょう。逆に、3年目になった時に救急外来当直などに苦手意識を残したままでは、それもままなりません。
市立池田病院の救急総合診療科・総合内科は、それぞれ救急外来と病棟の場を中心として初期研修医に指導を行っています。当院の救急外来は、指導医3名のもとで常に3~5人程度の初期研修医がローテーションで研修を行っています。総合診療をベースにした指導医陣が、軽症から重症まで救急疾患はもちろんのこと、不明熱のような鑑別困難症例や心理社会背景が複雑な事例への対応をも可能にしており、初期研修医は幅広い症例を経験することができます。総合内科病棟では救急外来と連携し、専門科が充足した総合病院のなかでも確立したプレゼンスを発揮しており、症例の幅広さや複雑さは疾患だけにとどまらず、医師にとって必要なエッセンスを広く深く、充実した指導体制のもと学べるようになっています。
先生方がそれぞれ初期研修医の特性や進みたい専門領域も見据えたうえで、個別の目標設定を行い、その人にとって必要な学びを逃さず研修を終えられるようサポートします。
我々は意欲ある先生達とともに学び、仕事ができることを心待ちにしています。
市立池田病院には初期研修の場としての学ぶ環境が十分にあります。特に外科では手術件が毎年1000件を越え、この豊富な症例をこなすスタッフも消化器外科、乳腺内分泌外科、呼吸器外科の専門分野に分かれ、常にスタッフは研鑽を続けています。高難度手術では大学の支援を受けやすい環境も魅力的です。スタッフは皆、大阪大学の医局出身で大変な手術をこなしながらも気さくで楽しい雰囲気で仕事をしています。初期研修医たちにはできるだけ多くの手術に参加して外科のやり甲斐や面白さを経験してもらえるような教育を心がけています。外科の研修の2年間で2から3ヶ月、外科の基礎、すなわち、外科解剖、病態の学習や皮膚縫合、結紮手技などをしっかり勉強していただき、さらに、大学主催の真皮縫合コンテストには毎年、参加して他病院の先生たちと技術を競いながら常に優勝を目指してがんばってもらっています。このように非常に恵まれた池田病院の初期研修で外科の醍醐味を感じてくれた研修医の先生は是非、外科レジデントになって将来、「孤高のメス」にあるような高邁な精神をもった外科専門医になってほしいと願っています。私たちスタッフはやる気のある若い先生方を待っています。
内科初期研修の大きな目的は、多くの症例を経験し、将来どの分野に進まれても大切な初期診断・治療についての対応力をつけることです。
当院は364床の中規模病院ですが、内科系が約190床を占め、総合内科(救急総合診療科)、消化器内科、循環器内科、呼吸器内科、糖尿病・内分泌内科、血液内科、腎臓内科、脳神経内科の各専門領域をカバーする指導医が在籍しています。初期研修1年目に内科系各領域を6か月、救急総合診療科を3か月ローテートし、選択期間でさらに研修を積むことも可能です。症例は質・量とも豊富で、プライマリケア・救急対応から専門的な診断・治療まで幅広く経験できます。各種検査・手技についても、早い時期から経験していただけるよう指導しています。学会発表や論文作成も積極的に支援し、院内の勉強会・研修会も多数行われています。初期研修の2年間は将来の臨床診療力をつけるために非常に大切な期間ですが、内科系診療科のまとまりも良く、外科系診療科との垣根も低い当院は、医師生活をスタートするには働きやすい職場だと思います。何事にも主体的に取り組んでいただける若い先生方をお待ちしています。
2020年に研修を開始される初期研修医から、小児科研修が必修になります。市立池田病院では小児科は1カ月の研修を予定しています。
多くの先生がたは今後医師として子どもに接するチャンスがあまりないかもしれません。短い小児科研修の中で、何を目的とするかはそれぞれに考えがあると思いますが、もっとも重要なことは将来にわたり子どもの診療をすることに抵抗がないようにすることだと考えています。それにはしっかりと子どもの診察をして緊急性を判断できるようになること、採血や点滴の処置に慣れること、保護者へわかりやすく説明をすることを中心に、研修を進めていくことが重要です。
当院小児科の1年間の入院患者数は600例程度であり、約半数が感染症です。また特徴として、食物アレルギーに対する負荷試験を積極的におこなっていることがあげられます。当院では同じ時期に研修をする研修医はほぼひとりですので、スタッフ全体で十分に指導できる体制となっています。いっしょにがんばっていきましょう。
当院で2年間研修を行う研修医は、選択期間中に1ヶ月半整形外科での研修を行います。内科系志望の多い当院で整形外科の初期研修が設定されているのは、ER型の救急外来や病棟での診療において外傷や筋骨格系疾患へスムーズに取り組めるようにするためです。興味がある場合には、更に期間を延長しての研修が可能です。
整形外科は運動器疾患すなわち脊椎や四肢の骨・関節・筋の疾患を治療対象としています。初期研修における整形外科での研修は、一般的な運動器疾患を知り、診断や治療の流れを習得することを目標とします。レントゲンをはじめとした筋骨格系の画像検査についても、整形外科医ならではの読影法を学ぶことができます。社会の高齢化に伴い年々増加している大腿骨近位部骨折や脊椎圧迫骨折などの骨粗鬆性骨折の治療については、手術だけでは無く、骨代謝の管理や治療・高齢者の合併症管理・リハビリテーション・急性期治療後の回復期病院への連携といった、今後どの分野を選択するに当たっても必要となる内容について経験することができます。リハビリテーションカンファレンスは患者様一人一人の活動性やADLについてリハ技師・看護師等の他職種と共に検討を行う多職種カンファレンスとなっています。
急性期病院の整形外科は手術治療を中心とした診療を行っており、術前検査・術式の検討・手術準備・手術・術後管理・リハビリテーション・転退院という、一連の流れを体系的に習得してもらうことができます。また、その流れの中で関節穿刺や外固定(ギプスやシャーレ)などの手技も身につけてもらうことができます。
泌尿器科では泌尿器がん(前立腺・腎・膀胱・精巣など)や尿路結石症、前立腺肥大症、男性・女性下部尿路症状、尿路感染症、尿路性器外傷など泌尿器科疾患全般に対応しています。
高齢化社会はすでに到来しさらに進行中です。初期研修医の先生にとって身近な救急外来の現場でも尿閉・血尿・結石性腎盂腎炎・尿路結石による疼痛の患者さんに対応する機会がますます多くなりました。
泌尿器科をローテートされる初期研修医の先生方には、こういった患者さんに対する「その場での一時的な対応」だけでなく、その後どのように治療し完結させていくのかまで、専門医による指導のもと実体験を通して学んでいただけます。症状が劇的に改善し、原因疾患が完治し、患者さんやご家族に感謝される、という医師冥利に尽きる場面にも数多く立ち会えることでしょう。
将来泌尿器科を選択されない先生にとっても、人間関係を大切にするスタッフとともに良い雰囲気のなかで、泌尿器科医の考え方を知り、泌尿器科を学び体験することが『臨床力』の大幅なアップにつながるものと確信しております。
泌尿器科をお考えの先生には(その熱意に応じてということになりますが)、より実践的なテクニックを身につけていただけます。また、さまざまな経歴の泌尿器科医が在籍しておりますので泌尿器科医としての将来のキャリアデザインの相談をお受けできます。当院には大阪大学の助教の先生が週1回外来に来られておりますので大学での後期研修のお話を聞く機会をお作りすることもできます。
医師としてのレベルアップを考える初期研修医の先生が泌尿器科に興味を持ち、ローテートに来られるのをお待ちしております。
当院での産婦人科の初期研修は2年目の1か月間です。1年間、内科・外科・救急総合診療科などを研修した後にローテートすることとなるため、それまでに習得した診療の立案や医療手技を実践していく機会となります。一方、周産期医療および女性に特化した診療という特殊性があり、見識を新たにする機会も多いと思います。産科については、分娩、帝王切開に立会い、可能な範囲での手技を実践できます。内分泌疾患、感染症などの合併症妊娠や悪阻、切迫流早産の管理を通じて、妊娠の生理的変化や投薬の注意事項の理解を深めることができます。婦人科については、開腹・腹腔鏡下手術に参加し女性骨盤臓器の解剖を理解できます。腫瘍性疾患に対する薬物療法・手術療法の適応や術式の選択について学習します。異所性妊娠・卵巣腫瘍茎捻転・卵巣出血などの産婦人科急性腹症について問診・理学的所見の取得・必須検査の選択・診断・治療・社会復帰という一連の診療行為を経験することができます。産婦人科疾患に関する抄読会を担当していただいています。
短い期間ですが、将来の診療に寄与するような意義深い研修となるよう支援します。
眼科は、選択研修期間での研修が可能です。当科では、人間が受け取る全ての情報の80%を担うと言われる「視覚」を守るため、スタッフが一丸となって白内障・緑内障・網膜硝子体疾患等、眼科各領域の診察・治療に幅広く当たっています。手術件数も豊富で、担当医として様々な症例を学んでいただくことが可能です。将来眼科専攻を考えている先生はもちろんのこと、視力・視野異常の考え方、急性緑内障発作の診断や治療など救急外来ですぐに活かせる知識や技術、また糖尿病網膜症など全身疾患と関連の深い眼科疾患を実地で学ぶことは、将来眼科以外の診療科を専攻する先生方にとっても大変有益な経験になるものと考えます。
実際に研修を希望される先生とは、前もって希望や目標を話し合った上で柔軟にプログラムを設定しています。興味を持たれた先生は、ぜひ気軽に声をかけてください。お待ちしています。
皆さんは皮膚疾患について、どのようなイメージをお持ちですか?
水虫や化粧品によるかぶれなどでしょうか?皮膚科以外の診療科に行けば全く縁のないものでしょうか?もちろん答えはNoです。
皆さんが病院の当直をすれば当たり前のように皮膚科の病気、蕁麻疹、帯状疱疹、蜂窩織炎などにお目にかかるはずです。重症の薬疹や壊死性筋膜炎などの命に関わる疾患であることもまれではありません。
そこで皮膚科の研修では医師として最低限知っておかねばならないことを学んでもらえることを目標としています。皮疹の正確な記述 (発疹学)、真菌検鏡などの検査法、そして光線療法などの皮膚科特有の治療法なども学んでもらいます。また最新の生物学的製剤などの威力も体験できるかもしれません。
最初は慣れないことが多いかもしれませんが、頑張ってみて下さい。皮膚科が実はとても奥の深いものだということに気づきますよ。
ちなみに日本のノーベル賞、大村智先生のイベルメクチンは皮膚病である疥癬症の治療薬であり、本庶佑先生のオプジーボが最初に使用されたのは皮膚のガンであるメラノーマに対してでした。そして山中伸弥先生がiPS細胞を最初に作ったのは皮膚の細胞からでした。
全て皮膚に関係があるのです。面白いでしょう。
耳鼻咽喉科は、選択研修期間に研修ができます。当科では、一般的な耳鼻咽喉領域の疾患の手術、入院治療や、頭頸部・甲状腺腫瘍等の診断(エコーガイド下穿刺)及び手術を行っており、豊富な症例の担当医となって手技を含めて疾患について学ぶことができます。喉頭ファイバースコピーは1~2か月の耳鼻咽喉科研修期間に十分修得が可能な手技ですが、この手技を身につけることにより喉頭の解剖が熟知でき、ファイバー挿管も可能になるため、緊急気道確保に自信が持てるようになります。鼻出血やkiller sore throatとも呼ばれる急性喉頭蓋炎、扁桃周囲膿瘍、Ludwig’s angina、Lemierre症候群等も日常的に診断・治療を行っています。また、2018年度に新規導入したvHITを用いためまい疾患の鑑別についても学べるため、一般救急外来にもすぐに生かせる知識や経験が得られます。また、人工呼吸管理中(主にICU)の患者に対する気管切開術及び気管カニューレの選択・管理や、悪性リンパ腫等に対しての頸部リンパ節生検も行っており、耳鼻咽喉科以外の内科系・外科系診療科に進む医師にとっても有益な研修が可能です。
学生時代に見学した科の中で研修すると印象が劇的に変わる科、それが麻酔科だと思います。麻酔科では・・・・
・麻酔科を志さない方も麻酔科研修でしか経験できない手技や知識を得る事が出来ます
・ビデオ喉頭鏡から始まり、ファイバー挿管、igelなど声門上器具、さまざまな気道確保の手技が学べます。
・外科系志望の方にとって、麻酔科側にたち患者さまの全身管理をするのは最初で最後になる可能性があり、非常に貴重な機会です。また脊椎麻酔を自分でする機会が必ずありますが、麻酔科研修では脊椎麻酔も多く麻酔科専門医に指導をうける貴重な経験になります。
・既に志す科が決まっている方、まだ決まっていない方も麻酔科の研修が終わって研修してよかった、何年後かに麻酔科で教わったことがここでいかされた、、、等 思ってもらえるように研修に励んでいただけたら と思っています。
・当科は自動麻酔記録を使用しており、記録におわれて何もできなかったということがありません。患者様の全身管理に集中でき指導医の指導も存分に受けていただくことができます。過去の麻酔記録もいつでも参照にでき日々の研鑽に役に立てることができます。
・ICUでの鎮静・人工呼吸管理、緩和医療、ペインクリニックなども希望に応じて、研修も可能です。
放射線科は、診断面の3 本柱である、理学的診断、生化学的診断、画像診断のうち、画像診断を担っており、治療面では、IVR, 放射線治療を担っています。CT. MRを中心とする機器の発達により、ますますその重要性は高くなっています。具体的には、画像によるトリアージなど総合内科的なセンスが必要な初期診断、各臓器の癌のステージングなど専門性の高い診断、CT 下生検、膿瘍ドレナージ、肝癌のTACE などの放射線機器を利用した治療、最先端の機器による各種の癌の放射線治療などであり、ほとんど全ての診療科と関係しています。初期研修医として、放射線科に回って来られた際には、各自の興味、将来の希望に応じて、特定の領域の画像診断を勉強することが一般的ですが、放射線科志望で、もっと基本的な観点から上記の各領域を学びたいと言う方は大歓迎です。
病理診断科は研修選択科であり、各研修医の希望により1ヶ月から数ヶ月の間研修を行ってもらいます。病気とは何かという基本的な考え方から始まり、炎症とは何か、炎症の種類はどうなのか、腫瘍と非腫瘍の違いは何かといった、市中病院で経験し得る疾患については、病理医と共に学び、どのような構築、細胞の形態を捉えたら診断できるかといった個々の細かい診断についてまで理解できることを目標に研修してもらいます。病理を目指す人は全般的に学んでもらい、後の志望科がある程度決まっている人は希望によって、その科に関連する症例に重点をおいて、より深く学んでもらうことも可能です。
さわ病院は1953年に設立された単科の精神科です。
豊中市にある都市型の精神科病院として、24時間精神科救急対応やデイケアなど多種多様な関連施設を併設して、地域の精神科医療を充実させるよう取り組んでいます。
「精神科」と聞くと、ご自分には関係ないとお考えになる方もおられるかもしれません。しかし、精神疾患の患者数は、近年、うつ病などの気分障害やアルツハイマー病などを中心に増加しており、厚生労働省は、従来の「4疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)」に精神疾患を追加して、「5疾病5事業」とした医療計画を実施しております。
精神疾患は、脳の器質的変化あるいは機能的障害のために、さまざまな精神・身体症状、行動の変化が見られる状態です。ほかの診療科で出会う疾患と同じように、脳内で生物学的な変化が起こって、一連の症状が引き起こされているものですので、けっして特別視することはありません。また、身体治療を要する患者さまが、なんらかの精神疾患を併存しおられることも少なくなってきています。
さわ病院での研修では、精神医療・福祉へのさまざまな対応と、認知症をはじめとした高齢者医療・福祉を経験していただけます。それぞれの患者さんたちが、そのライフサイクルを、病や障害を持ちながらも全うすることを援助することを病院は目指しています。
精神科に興味のある方はもちろん、精神科ではない診療科を目指している方も、ぜひ当院で、脳と心や、それにまつわる様々な事柄やその対応について研修していただきたいと願っております。
地域医療研修では、市中病院や診療所など人々に最も身近な医療現場で、初期診療、病診連携を実践することで、将来、地域医療に貢献できる力を養っていただきます。継続性のある外来診療や訪問診療、訪問リハビリ、主治医意見書作成、介護支援専門員との面談、家族の介護力の評価など、包括した医療の担い手としての医師の役割を学びます。地域医療研修では、地域医療を担う医師の役割、身につけるべき視点や姿勢について学ぶことが大切です。
形成外科はケガややけど、ケガや手術後の傷あと、生まれつきの変形、体の表面のあざやできものを治療する診療科です。治療が必要な状態であれば、「赤ん坊からお年寄りまで」、「頭のてっぺんから足の先まで」、私たち形成外科の守備範囲です。
また、「美容外科」も形成外科の診療に含まれます。
形成外科初期研修では、将来、形成外科の専攻を考えている方はもちろん、手術を行う全ての診療科、皮膚科、小児科などを専攻した場合にも役に立つ手技や考え方が身に付きます。研修期間にもよりますが、形成外科的な創傷の管理、皮膚縫合法、機会があれば他科と合同で行う乳房再建や頭頸部再建なども学ぶことができます。
その他いろいろな再建手術(顕微鏡下の血管神経吻合術なども含む)などの見学希望があれば、大学病院への見学も可能です。
少しでも興味のある方は是非
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