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ナビゲーション人工膝関節置換術

ナビゲーション人工膝関節置換術

高齢者の2人に1人は変形性膝関節症に!?

日本では、かつてないスピードで超高齢化が進行しています。池田市、豊中市、箕面市、吹田市、川西市なども同じ傾向にあります。伸び続ける平均寿命と、自立した生活が可能な期間である健康寿命との間には平均で10年程度の開きがあり、医療や介護費用の増加の一因となっています。

 

また高齢者の腰痛と膝痛は有訴率が高く、ADLを大きく低下させる原因にもなっています。変形性膝関節症は高齢者の2人に1人が罹患するとも言われ、日本での有病者数は2,500万人と試算されており、手術加療も多く行われています。人工膝関節置換術は年々増加しており、全国で年間10万件以上の手術が行われるようになっています。当院でも人工膝関節置換術の件数は増加しています。

 

かかりつけ医で保存加療を行っても、疼痛・ADL低下の改善が得られない患者さまに対して、当院にて手術加療を行なっています。現在、3種類の手術を行なっており、関節の状態や年齢により手術適応が異なります。

【1】人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty : TKA)

変形性膝関節症に対する手術として最も多く行われている術式で、痛んだ関節部分をコンポーネントで覆うようにして置き換える手術です。関節表面の置換、下肢アライメントの改善、関節の安定性獲得を行うことで疼痛・歩行能力を改善させます。変形が進行していても可能な術式です。

当院では、ほぼ全ての症例でナビゲーション(コンピューター支援手術)を用いて正確なコンポーネント設置を行うようにしております。

【TKAのコンポーネント】

【TKAのコンポーネント】

【術後 膝関節単純X線】

【術後 膝関節単純X線】

【2】単顆型人工膝関節置換術 (Unilateral Knee Arthroplasty : UKA)

変形の段階が比較的早期で、内側のみの変性にとどまる症例に対して選択できる術式となります。変性した内側部分のみ大腿骨・脛骨の表面をコンポーネントで置換します。

【UKAのコンポーネント】

【UKAのコンポーネント】

【術後 膝関節単純X線】

【術後 膝関節単純X線】

【3】高位脛骨骨切り術 (High Tibial Osteotomy : HTO)

変形の段階が早期で、比較的若年(70歳未満)で活動性の高い患者様に適応がある術式です。脛骨を切って形を矯正することで、変性していない外側に荷重点を移し、疼痛の改善を図ります。自分の関節を温存できるため、スポーツ復帰率などが高くなります。

【HTO模式図】

【HTO模式図】

【術前後で荷重点が移動】

【術前後で荷重点が移動】

当院における人工膝関節置換術件数

平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和1年 令和2年 令和3年
件数 56 64 63 81 76 63 48

コンピューターナビゲーション

当院では手術を正確に行うことができるコンピューターナビゲーションを用いた人工膝関節置換術を2014年10月より導入しており、最近ではほぼ全例をナビゲーションガイド下に行っています。人工関節手術に用いられるナビゲーションは術中に骨に取り付けたトランスデューサー(アンテナ)を赤外線カメラで捕捉することにより、骨や骨切りガイドの位置を把握して正確な手術を行うための補助となります (精度は誤差1mm/1°以内) 。(図3)

図3 ナビゲーション模式図

ナビゲーション人工膝関節置換術の成績については多くの報告がなされていますが、従来の手術に比べてコンポーネント設置の正確性が上がり、目標とした角度から3°以上の誤差を生じる割合が改善します。当院での手術症例の検討においても同様の結果が得られており、従来手術との比較において術後アウトカムの改善に役立っています。

十分な保存的加療を行っても膝関節痛や膝関節機能障害が改善せず、困っておられる患者さまは手術の適応があるかもしれません。一度、近隣の整形外科クリニックや診療所へご相談して下さい。

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市立池田病院 072-751-2881