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リードレスペースメーカーについて

リードレスペースメーカーについて

リードレスペースメーカーとは

リードレスペースメーカーとは、従来の皮膚の下に植込むペースメーカーとは違い、カテーテルを用いて心臓内に本体を留置するものです。
当院では2024年度からリードレスペースメーカーの植込みを行っています。従来型のペースメーカーと比較して、治療時間や入院期間が短いことなどが特徴です。

ペースメーカーの適応・種類

ペースメーカーは、洞不全症候群や完全房室ブロックなど、脈拍が遅くなる病気(徐脈)によってふらつきや一時的に意識がなくなってしまうときに対して使用する治療機器です。
徐脈に対しては、内服薬での治療が困難なことが多く、ペースメーカーが必要となることが多いです。

従来は胸部の皮下に本体を留置し、そこから心臓内へ留置したリードを用いる経静脈ペースメーカーしか治療選択肢がありませんでした。2017年から日本でもリードレスペースメーカーが使用可能となり、現在適応が拡大しています。
リードレスペースメーカーはリードを必要とせず、2cm程度の本体を右室内に留置することで、徐脈の改善が図れます。
経静脈ペースメーカー

本体を皮下に植込む

リードを心臓内に留置する必要がある

リードレスペースメーカー

本体をカテーテルを用いて心臓内に留置する

リードレスペースメーカーのメリット

リードがなく本体が心臓内へ留置されているので、体外からのペースメーカー植込みは分からず、美容上、利点がある

リード線がないため、感染のリスクが低い

右の足の付け根の穿刺のみで留置が可能であるため、大きな傷口が残らず、術後早期に日常動作を行うことができる

経静脈ペースメーカーの植込みより、手技時間が短くなることが多い

リードレスペースメーカーは、従来の経静脈ペースメーカーと比較してメリットがあります。ただ疾患によって経静脈ペースメーカーのほうが有利なこともあるため、個々の適応については主治医に相談してください。

リードレスペースメーカー留置の実際


リードレスペースメーカーの留置は入院での加療が必要です。植込み前日に入院いただき、治療後は数日で自宅退院が可能です。
なお、当院では基本的に全例で全身麻酔下に植込みを行っているため、手技中の疼痛が緩和されます。


①足の付け根に局所麻酔を行います

②太い血管(静脈)からカテーテルをいれます

③カテーテルで心臓までリードレスペースメーカーを運び、右心室の壁に固定します

④動作確認後、カテーテルを抜きます

リードレスペースメーカー留置後の様子

息切れ症状などがあれば、かかりつけ医に相談してください。

胸部レントゲン


留置されたリードレスペースメーカー

心電図

よくある質問

Q.リードレスペースメーカーは、高齢者でも利用可能でしょうか?

利用可能です。高齢の方のほうが適応としていいこともあります。

Q.留置の際の手術に危険性はありませんか?

リードレスペースメーカー留置の手技に注意しなければならない合併症として、心臓の壁に穴があく心タンポナーデがあります。
当院ではそのリスクの評価のため、術前にCTや心エコー検査を行いリスクの評価を行っています。

Q.入院が必要とのことですが、入院期間はどの程度でしょうか?

標準的な入院期間としては5日程度になります。

Q.リードレスペースメーカーは永続的に動き続けるのでしょうか?(寿命はありますか?)

リードレスペースメーカーの動作の状態によりますが、一般的には10年前後で電池残量が低下します。
低下した場合は新たに留置を行います。

Q.植え込み後に心臓から外れることはないのでしょうか?

心臓から外れることがおこる可能性はあり、植え込み直後が多いです。それが起こっていないかどうかを入院中に観察します。

Q.植え込み後に日常生活で気を付けることはありますか?

リードレスペースメーカーは体外に機械が露出するわけではないため、生活においての運動制限はありません。
ただし、ペースメーカー留置された患者さま全員の一般的な注意点があり、術前に説明を行っています。

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市立池田病院 072-751-2881