真珠腫性中耳炎は手術が必要な中耳炎ですが、手術を行うことができる病院は多くありません。当科では耳科手術暫定指導医の資格を持った経験豊富な医師が手術を担当しており、症例によっては低侵襲な内視鏡下手術にも対応しています。
鼓膜が陥凹するなどして骨破壊を生じ、耳だれや難聴、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎などを起こします。内服や点耳では治療できず、手術で上皮組織の清掃・摘出を行う必要があります。鼓膜上部の弛緩部が陥凹するのは弛緩部型真珠腫、鼓膜中央や後方の緊張部が陥凹した場合は緊張部型真珠腫と呼ばれます。耳管機能が悪いと生じやすく、多くは成人発症ですが、小児でも起きる場合があります。小児では中耳へ迷入した上皮組織が消失せず、先天性真珠腫という病態もあります。
正常鼓膜(右)
弛緩部型真珠腫
緊張部型真珠腫
先天性真珠腫
中耳は、小さな構造の中に、聞こえやめまい、味覚、顔面神経などの重要な構造が集中しているため、顕微鏡や内視鏡、また顔面神経を確認するモニター装置も用いて手術を行います。耳後部の側頭骨を削ってアプローチする乳突削開術もしばしば併用されます。真珠腫の部位や進展範囲によっては手術を2回に分け、1回目は清掃のみとし、2回目に再発がないか確認した上で聴力改善を図る段階的手術とすることもあります。
<術後注意点>
術後2カ月ほどは鼓膜に負担のかかる強い鼻かみや鼻すすり、飛行機の利用は控えていただいています。
真珠腫は、手術時に摘出されなかった上皮組織が再び真珠腫を形成する遺残性再発や、鼓膜が再び陥凹し真珠腫を形成する再形成再発があるため、術後長期間の経過観察が必要です。
池田市、豊中市、箕面市、吹田市、川西市など近隣の方でお困りの方は、一度かかりつけ医に相談の上、紹介状を持参し受診して下さい。
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