「da Vinci -ダビンチ-」を用いたロボット支援下手術は、骨盤腔の深部に病巣がある婦人科疾患との相性が良く、その利点を充分に発揮できると考えられています。
2022年3月より市立池田病院 婦人科にてロボット支援下手術が導入されました。
厚生労働省の定める基準を満たした施設に限り、保険診療として、子宮筋腫や腺筋症などの婦人科良性疾患に対するロボット支援下子宮全摘術、早期子宮体がんに対するロボット支援下子宮悪性腫瘍手術、子宮脱を含む骨盤臓器脱に対するロボット支援下仙骨腟固定術を行うことが認められています。
2023年4月現在、市立池田病院においては、婦人科領域で保険適応となっているすべてのロボット支援下手術は実施可能となっております。
ロボット支援下手術は、高画質な3D画像の拡大視野下で術者の手と同じように稼働するロボット鉗子を操作し行います。そのため、開腹手術では見ることが困難な狭く奥まったスペースにおいても、細かい血管や神経、リンパ管などの構造が確認できます。
術者の精密な手の動きが、手ぶれが防止された状態で再現されるため、腹腔鏡下手術より更に繊細な手術が可能と言われています。創部は8-12mm程度と開腹手術と比べて負担は少なく、より早期の回復が期待できるため、高齢の方においてもロボット支援下手術の利点は確認されています。
当院においては、ダビンチ手術のライセンスだけではなく、腹腔鏡認定医と婦人科腫瘍専門医の資格を持った医師が、術者もしくは介助者を務めます。さらに手術に関わるスタッフ全員が視野の共有を行い、安全を確保しながら手術を行っております。
骨盤臓器脱は女性の生涯罹患率10%を超えるとも言われており、出産や加齢により骨盤を支える筋肉が弛緩もしくは脆弱化し、腟口から外側に下がってくることで生じます。
仙骨腟固定術とは、子宮上部切断術を行ったあとに、メッシュの尾側端を剥離した膣壁に固定し、頭側端のメッシュを仙骨前面の前縦靭帯に吊り上げ固定する手術です。
ロボット支援下仙骨膣固定術は、腹腔内で手術を完遂するため、感染などのメッシュトラブルが少ないと言われております。さらに性的活動を有する若年者にも適しております。
仙骨膣固定術は骨盤の奥である膀胱と膣壁周囲での手術操作を必要とするため、ロボット手術が適していると考えられます。
当院の早期子宮体癌に対する、ロボット支援下子宮悪性腫瘍手術ではセンチネルリンパ節生検の併用を行うことがあります。
センチネルリンパ節とは、がん細胞がリンパの流れに乗って最初に到達するリンパ節です。センチネルリンパ節に転移が無いことを確認できれば、それ以外のリンパ節にも転移が無いと判断することができ、リンパ節郭清を省略することが可能と言われています。
子宮がんのリンパ節郭清による下肢のリンパ浮腫の頻度は約10-15%といわれ、不要なリンパ節郭清を防ぐことで、下肢リンパ浮腫を減らすことができます。
当院では子宮がんに対するセンチネルリンパ節生検を倫理委員会の承認のもと行っております。
術中迅速病理検査の結果、センチネルリンパ節に転移を認めなかった場合、骨盤リンパ節郭清を省略し、術後リンパ浮腫等の減少に取り組んでおります。
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